カセット効果という言葉を聞いたことはあるだろうか。
カセット(cassette)とは「箱」という意味で、直訳が難しい外国語を「厳密には異なるが近い意味を持つ日本語」や「原意にイメージが近い漢字を組み合わせた造語」を用いて多少強引に翻訳することで、その言葉に原意とは異なる独自の意味が込められていく、といった現象を指している。
柳父章という人物が自身の著書で主に用いている言葉で、氏は翻訳語研究の大家であり、興味深い著作をいくつも世に出しているが、今回はその中の一冊『翻訳語成立事情』(以下本著)と翻訳についてのお話。
続きを読む